卓田越彦の手が彼女の腰に回された。「姪っ子、叔父さんが君にどう振る舞ってほしいか分からないわけじゃないだろう?」
そのとき、ようやく電気が復旧し、部屋に明かりが戻った。
鈴木音夢は彼のハンサムな顔を見つめ、思わず尋ねた。「叔父さん、前にたくさん彼女がいたの?」
卓田越彦は彼女の質問に答えなかった。結局のところ、28歳の男性でありながら、実は処女だったのだ。
こういうことは、口にするのが難しい。
彼の周りに女性がいなかったわけではなく、常に様々な女性に囲まれていた。
ただ、卓田越彦は潔癖症で、見ただけで食欲がなくなってしまう。
それらの女性たちは、卓田家若奥様の座を狙っているだけだった。
おそらく今は目が見えないからこそ、このチビが彼の好みに合ったのだろう。
彼はかつて自分がその方面に問題があるのではないかと疑ったことがあったが、実際はそうではなかった。
このチビに対しては、一日中ベッドに押し倒して、激しく愛したいと思っていた。
音夢は彼が黙っているのを見て、彼にはたくさんの女性がいるのかもしれないと思うと、少し不快な気持ちになった。
しかし、彼はこんなにハンサムで才能もあるのだから、女性がいないわけがない。
「バカな子、もう叔父さんを管理し始めるつもり?」
卓田越彦は当然、今まで彼女が唯一の女性だったことを彼女に告げるつもりはなかった。
「そんなこと、とてもできません。叔父さん、外は大雨です。窓を閉めてきますね。」
今は電気が復旧し、雷もそれほど怖くなくなっていた。さらに先ほど卓田越彦が彼女を慰めてくれたおかげで、彼女はもうそれほど怖くなかった。
鈴木音夢はベッドから降り、スリッパを履いたが、まだ窓に到達する前だった。
前方で稲妻が閃き、ほとんど真っ暗な夜空を照らし出した。
続いて、耳をつんざくような雷鳴が響き、心臓が震えるほど怖かった。
鈴木音夢は急いで戻り、一気に卓田越彦の腕の中に飛び込んだ。
卓田越彦は彼女を抱きしめ、「大丈夫、叫ばないで。声が雷を引き寄せるかもしれないよ。」
家には避雷設備があるものの、音夢の悲鳴を聞いた卓田越彦は、その声が雷よりも彼を不安にさせると感じた。
「叔父さん、窓を閉めに行く勇気がありません。怖いです。」
「閉めなくても大丈夫だよ。ただ私のそばにいて、怖がらないで。」