第072章 彼の周りに女性がいるのが嫌い8
部屋のドアが開く音が、一瞬で卓田越彦と鈴木音夢を驚かせた。
鈴木音夢は服を脱ごうとしていたところで、突然手を止めた。二階の主寝室は、卓田越彦の許可なしには誰も簡単に入ることができない場所だった。
鈴木音夢の神経は、瞬時に高度な警戒状態になった。
彼女がどれほど鈍感でも、今夜一晩中見ていれば、禾木先生が卓田越彦に好意を持っていることに気づかないはずがない。それは卓田越彦が目が見えないのではなく、彼女が盲目だったのだ。
最も腹立たしいのは、普段は氷山のような表情をしている卓田越彦が、今夜はあの女性と楽しそうに話していたことだ。本当に許せない。
鈴木音夢は怒りが増すばかりだった。あの禾木先生がここに入ってくる勇気があるのか?
一瞬のうちに、音夢は自分が「厄払いの嫁」という立場であることを忘れ、バスルームのドアを開けた。