第082章 卓田越彦は実はインポではない9

卓田礼奈は卓田家で、皆の寵愛を受けて、まさに小さな暴君のようだった。

「お兄ちゃん、目が良くなったってことは、小さな義姉を迎える時かな？否定しないでよ、あなたが鈴木さんをベッドから起き上がれないようにしたって、私知ってるんだから」

卓田正修は息子の顔を見ると、まるで鍋底のように真っ黒になっていた。

この小娘の口は、まったく遠慮がないものだ。

「礼奈の言うとおりだ。お前ももう若くないんだし、本当に鈴木家のお嬢様と結婚したいなら、父さんは反対しないよ。お父さんは孫を抱くのをずっと待っているんだ。頑張って、来年には私の孫を抱く願いを叶えてくれ」

卓田越彦は顔を黒くしていたが、結局彼らの言葉に反論しなかった。

そして長い脚で検査室に入っていった。

林柳美はとても驚いて、卓田越彦が検査室に入った後で小声で言った。「あなた、今回は珍しく越彦が怒らなかったわね。以前なら、とっくに怒り出していたのに」

卓田正修は顎を撫でながら、考え深げに言った。「もしかしたら、あの小僧も自分で子供が欲しいのかもしれないな。ああ、我が卓田家にもようやく後継ぎができる。あの占い師の言った八字は、本当に当たっていた。あの娘は、確かに夫を繁栄させる相だ」

こっそり横に立っていた立林絹子と鈴木玉子は、彼らの会話を聞いて、驚きのあまり口が閉じられなかった。

鈴木玉子はまったく冷静さを保てず、最終的には立林絹子が我慢して、鈴木玉子を強引に病院から連れ出した。

病院を出るとすぐに、鈴木玉子は爆発した。「ママ、ネットの噂は全部嘘だったのよ。卓田越彦は不能じゃなかったなんて。下の方を壊したって何？完全に人を騙してたのよ。腹が立つわ、本当に腹が立つ！」

ネット上の噂は、正確に言えば、卓田越彦の被害者たちから広まったものだった。

さらに、ネット上の事は、当然ながらどんどん誇張されていく。

鈴木玉子は自分が騙されたと感じ、口に入りかけていた肉を鈴木音夢に横取りされたような気分だった。

シャネルの新作、豪華な車、美しい別荘、卓田家若奥様の地位、それらは全て本来彼女のものだったはずだ。

立林絹子はしばらく考え込んだ後、歯を食いしばって言った。「あの賤人に得をさせてしまったわ。もしあなたが卓田越彦の子供を身ごもることができれば、将来卓田家全体が私たちのものになるのに」