鈴木国彦は音夢の意図を見抜いたかのように言った。「音夢、お父さんを本当に追い詰めないでくれ。明日、人を派遣して、お前を空港まで送らせる」
そう言うと、鈴木国彦はもう無駄話をせず、音夢を柱に縛り付けた。
この時、空はすでに薄明るくなっていた。鈴木国彦も眠る気にはなれなかった。
彼は立林絹子を見て言った。「彼女の荷物をまとめておけ。明日、送り出す」
立林絹子は心の中で、あの女を殺してしまいたいくらいなのに、荷物なんかまとめてやるのかと思った。
しかし、立林絹子の心の中には、すでに計画があった。
だが彼女は鈴木国彦には言わないつもりだった。あの小娘を国外に出して、二度と戻れないようにしてやるつもりだった。
立林絹子は見せかけだけで、二階に上がって服を二、三枚まとめた。