第095章 ネックレスのデザイナー

卓田正修はうなずいた。「息子、安心して。玉子は外で待っているから、頑張れ」

「うん!」あまりに感傷的な言葉は、卓田越彦も口にできなかった。

卓田正修は息子が医師に押されて、中の専用手術室に運ばれていくのを見ていた。

10分後、壁の赤いランプが点灯した。

「お父さん、お兄ちゃんの手術が始まったわ」

「ああ、外で待とう」卓田正修も心の中で静かに祈った。

卓田礼奈は振り返り、ずっと傍に立っていた鈴木玉子を見た。「鈴木さん、心配しないで。お兄ちゃんは最高だから、きっと大丈夫よ」

鈴木玉子はうなずいた。「ありがとう、礼奈ちゃん。一緒にお兄さんのために祈りましょう」

鈴木玉子はずっとあまり話さなかった。一つには緊張していたこと、もう一つは何か間違ったことを言うのが怖かったからだ。