その粗麻縄はきつく縛られていて、鈴木音夢は歯を食いしばりながら、少しずつゆっくりと切り開いていった。
彼女は鈴木玉子の陰謀を成功させるわけにはいかなかった。彼女はどうしても卓田越彦に会わなければならなかった。
どれくらいの時間が経ったのかわからないが、彼女は一瞬も休まずに切り続けた。時間が少しずつ過ぎていき、ようやくその粗麻縄がほとんど切れかかっているのを感じた。
鈴木音夢の額には、細かい汗の粒がびっしりと浮かび、髪の毛を伝って、彼女の赤く腫れた顔に滴り落ちていた。
鈴木世介と鈴木成典は学校の寮に住んでいて、自分以外に彼女を助けられる人は誰もいなかった。
ついに、鈴木音夢の手の麻縄が切れた。
彼女は急いで足に縛られた縄をほどき、ドアのところまで行ったが、部屋は外から鍵がかけられていた。