第120章 強靭、絶体絶命からの生還4

立林絹子は思いもよらなかった。自分がこんなにも長い間、鈴木国彦に騙されていたなんて。「鈴木国彦、あなたは恥知らず、厚かましい!」

そう言うと、立林絹子は卓田越彦の表情がさらに険しくなるのを見て、慌てて口を手で覆った。

「林暁美が探していた男は誰だ?」

おそらくその男はチビの実の父親だろう。彼女のことについては、できる限り詳しく知っておく必要がある。

もっとも、こういった不名誉なことは、チビに知らせるつもりはない。

鈴木国彦は首を振った。「それは本当に分かりません。林暁美自身も、その男の本当の名前が何なのか知らなかったんです。ただ、林暁美はとても美しい玉の飾りを持っていて、私が鑑定してもらったところ、それは上質な羊脂の玉で、表面には精巧に鳳凰が彫られ、裏面には『封』という文字がありました。」

当時、林暁美は騙されやすかった。一つの玉の飾りだけで、男の本当の名前も知らないまま。広大な永崎城で、どうやってその人を見つけ出せるというのか?

卓田越彦は少し目を細めた。「封」の字?

鈴木国彦の説明によると、このような玉の飾りは、貴族の身分を示す信物のようだった。

「続けて」

「その後、私は林暁美と結婚し、彼女の持ち物をすべて騙し取って売り払い、会社を設立しました。卓田様、鈴木世介は私の実の息子です。彼と音夢が実の兄妹であることを考慮して、どうか私を許してください。」

「林暁美の死には、お前は関係ないのか?」

鈴木国彦はすぐに首を振った。「卓田様、よく見てください。最初は確かに林暁美を騙して結婚させ、音夢に正常な家庭環境で育つようにしました。でも私も彼女のことが好きだったんです。確かに...確かに私が彼女を強姦して、世介ができたのは事実です。私も普通の男で、子供ができれば彼女はもうあの男のことを考えなくなると思ったんです。でも暁美の死は、本当に私とは関係ありません。彼女は世介を産んだ後、産後の大量出血で、医師も助けられなかったんです。」

だからこの何年も、音夢と世介を見るたびに、林暁美のことを思い出してしまう。

鈴木国彦は後ろめたさを感じ、時には彼らの顔を見ることさえできなかった。長い間に、彼らを見るのも嫌になってしまった。

彼は今でも忘れられない。林暁美は死ぬまで、あの男のことを思っていたことを。

「鈴木国彦、お前は地獄に落ちろ!」