第165章 あなたが残した歯形17

鈴木世介も気骨のある男だ。彼は病院に十万元を預けた。

しかし、このお金はまだまだ足りない。杏子はそんなに長く待てないのだ。

卓田越彦のあのろくでなしは、いつ戻ってくるかもわからない。

鈴木世介は電話を切り、一か八かの賭けに出ることを決めた。

病室では、杏子がベッドに横たわり、体にはたくさんのチューブが挿されていた。酸素マスクをつけた彼女は、より一層痩せて弱々しく見えた。

鈴木音夢は彼女の手を握りしめた。今の杏子は、三年前よりも痩せてしまっていた。

透析は、とても苦しいことだ。

注射をするだけで半日泣き続けるような小さなお姫様にとって、本当に苦痛を伴うものだった。

最初のころ、杏子は毎回治療を受けるたびに、天地を揺るがすほど泣いていた。

その後、彼女は徐々に自分が病気であることを受け入れ、おとなしく医師に協力するようになった。