卓田越彦は手元の資料を見ながら、すでに不機嫌そうだった。「礼奈、兄さんは海外で嫁さんを探しているんだ。ふざけないで、用があるなら帰ってから話そう」
そう言うと、卓田越彦は電話を切った。
彼は立ち上がり、馬場嘉哉を見た。「ジョンを呼んでこい。シカゴ中をひっくり返してでも、彼女を見つけ出せ。それから、移民局でも調べてみろ」
馬場嘉哉はうなずいた。今回はどんなことがあっても、音夢さんを見つけ出さなければならない。
卓田ビルでは、卓田礼奈は兄が彼女の電話を切ったことに憤慨していた。
なんて理不尽なの、兄は義理の妹を探すことばかり気にして、彼女の一生の大事にも関心を持たないなんて。
ふん!兄が手伝ってくれなくても、あの女の素性を調べる方法はある。
もし卓田越彦と卓田礼奈が、彼らが必死に探している人物が鈴木音夢だと知ったら、きっと血を吐くほど驚くだろう。