第171章 あなたが残した歯形23

ホテルの玄関前に、黒いハマーが停車し、馬場嘉哉はすぐに車から降り、ドアを開けた。

卓田越彦がホテルに入ると、馬場嘉哉は彼の後をぴったりと付いていった。

ある種の人間は、生まれながらの王者なのだ。

ロビーマネージャーは当然、卓田越彦を知っていた。彼がここに現れたのを見て、非常に驚き、急いで近づいてきた。

「卓田様、ご来訪とは存じませんでした。お迎えできず申し訳ありません」

「無駄話はいい。この女性がどの部屋にいるか調べろ」

確かに、このように客室番号を調べるのは、いささか規則違反だった。

しかし、卓田越彦の前で規則を語るなど、死にたいようなものだ。

彼を怒らせた者で、永崎城でやっていける者がいるだろうか?

ロビーマネージャーは一瞥した後、急いで携帯を持ってフロントに向かった。「急いでこの女性がどの部屋にいるか調べてくれ」