第170章 あなたが残した歯形22

広田叡司はメッセージを送り終え、卓田越彦の趣味を軽蔑した後、隣の美女を抱き寄せた。「珠緒、俺は昔から女がおしゃべりなのは好きじゃないんだ」

「はい、わかってますわ。広田さん、行きましょう」

広田叡司はようやくセクシーな女性を抱きながら、彼の派手なランボルギーニへと向かった。

鈴木音夢は26階に到着し、仁田邦格から送られてきた部屋番号を見つけた。

ドアベルを見つめ、彼女は一瞬躊躇したが、最終的にはそれを押した。

彼女は自分の手が震えていることだけを感じていた。

仁田邦格がドアを開け、鈴木音夢を見ると、目の下にクマがあった。「ヘレン、すべて準備できてる。あなただけを待ってたんだ。より良い効果を出すために、まずメイクをしに行って。こちらは四方田力だよ。どう？かっこいいだろ？あなたにふさわしいと思わない？」

四方田力は一目で筋肉質なイケメンだとわかった。鈴木音夢を見ると、彼の目は思わず真っ直ぐになった。

彼女は一目で人を魅了するタイプの女性ではなかったが、見れば見るほど魅力的だった。まるで高山に咲く椿のように、他とは違った気品を漂わせていた。

「はじめまして、ヘレン。一緒に仕事ができて嬉しいよ」

四方田力が手を差し出したが、鈴木音夢はただ軽く頷いただけだった。

この男性とこれからある種のことをすることを考えると、鈴木音夢の心はまるでハエを生で飲み込んだかのような気分だった。

「さあ、ヘレン、まずシャワーを浴びて、それからメイクをしよう。一発で成功させたいからね」

鈴木音夢が歩いていくと、すでにメイクアップアーティストが彼女を待っていた。

そして隣には、非常にセクシーなランジェリーが一列に並べられていた。

シカゴから永崎城へ向かう飛行機がついに到着した。

卓田越彦は長い脚で機内から出ながら、携帯の電源を入れた。

電源を入れるとすぐに、卓田礼奈からの不在着信が何件か表示された。

続いて、広田叡司からのメッセージも届いていた。彼がまだメッセージを送ってくるとは？

前回の諌山雪乃の件では、まだ彼と清算していなかったのに。

卓田越彦はメッセージを開き、そこに添付された写真を見て、思わず足を止めた。

彼は目を細め、写真は横顔しか写っていなかったが、彼には感じるものがあった。この人物こそ、彼が心から思い続けていたチビだと。