鈴木音夢は彼の言葉を聞いて、思わず顔を上げ、彼を見つめた。
この男性はとても格好良いのに、彼女のちょっとした心の内を見透かすことができるなんて。
「これからは俺がいるから、お前と杏子は、もう二度と昔のような生活をすることはない」
卓田越彦はそう言うと、少し甘やかすように、軽く彼女の鼻先をつついた。
鈴木音夢は不思議と鼻がツンとして、彼の腰をしっかりと抱きしめ、頭を彼の胸に埋めて、彼の鼓動を聞いていた。
彼女は少し現実感がなく、心の中の感覚が奇妙で、でもとても甘美だった。
「おじさま、これから、私たち本当に一緒にいられるの?」
この言葉は、結局口に出してしまった。
彼の地位はそこにあり、彼らの間には、雲泥の差があると言える。
あんなに優秀な男性に、自分はふさわしいのだろうか?
「バカだな、もちろんだよ。5年前に約束したじゃないか、俺のそばでおとなしくしていると。あれは俺が強制したわけじゃない、お前が自分から望んだことだ。今さら後悔しても無駄だぞ」
鈴木音夢は口元を少し上げ、勇気を出して、こくりと頷いた。「うん、頑張るわ、もっと良い自分になれるように」
そうすれば、将来あなたの隣に立っても、私があなたにふさわしくないなんて言う人はいなくなるわ。
私はあなたにふさわしくないかもしれないけど、最高の自分になるために頑張ることはできる。
最高の私が、あなたの隣に立てるように。
「頑張る必要はない、俺のそばにいればいい。部屋はどんなスタイルが好きだ?」
彼の部屋はシンプルなスタイルが主で、杏子のピンク色のプリンセスルームとは全く違っていた。
「あなたの部屋が好きよ、何も変える必要はないわ」
彼の部屋は彼の香りで満ちていて、彼女もこの男性についてもっと知りたいと思っていた。
彼女のこの言葉は、プライドの高い卓田若様を喜ばせることに成功した。
「そんなに俺のことが好きなんだな?いいよ、お前の望みを叶えてやる」
そう言うと、彼は一気に彼女をドアに押し付け、激しくキスをした。
彼女の唇は、蜜を塗ったかのように、どれだけキスしても甘く、どれだけ求めても足りないようだった。
鈴木音夢は気を失いそうになった。彼の手は、本当に度を越していた。
しばらくして、卓田越彦は彼女から離れ、息を切らしている彼女の姿を見て、思わず口元を上げた。