第193章 スタイル抜群の鈴木さん4

鈴木音夢は初めて卓田家を訪れ、やはり少し居心地が悪かった。まるで庶民が突然、皇宮に迷い込んだような感覚だった。

卓田礼奈は今日、学校で重要な実験があったため、病院へ杏子の退院を迎えに行くことができなかった。

家に戻ると、卓田礼奈は鈴木音夢と杏子を見て、急いで近づいた。「お義姉さん、杏子ちゃん...」

卓田礼奈の「お義姉さん」という言葉を聞いて、鈴木音夢の表情はやはり少し不自然になった。

「お義姉さん、まだ私のことを怒ってるの？」

卓田礼奈は少し心配して、鈴木音夢を脇へ連れて行った。

彼女は確信していた。もしお義姉さんが鈴木世介と自分が一緒になることに同意しなければ、それはもっと望みがないということだ。

「礼奈、私がなぜあなたに怒るの？」

鈴木音夢は少し不思議に思い、一瞬卓田礼奈が何を指しているのか理解できなかった。

「お義姉さん、私は前にあなたを誤解して、良くない言葉を言ってしまいました。怒っていますか？」

鈴木音夢は微笑んで、ようやく彼女が何を指しているのか理解した。「わかったわ、あなたは私を世介の彼女だと思ったのね。」

卓田礼奈は頭を下げ、顔が少し赤くなった。「お義姉さん、私が鈴木世介を追いかけることに反対しますか？」

鈴木音夢はためらった。彼女には卓田礼奈が世介を好きで、しかも積極的に追いかけるとは想像できなかったからだ。

卓田礼奈は鈴木音夢が黙っているのを見て、彼女が不機嫌だと思った。「お義姉さん、私は本当に鈴木世介のことが好きなんです。彼を2年間追いかけてきました。本当に反対しますか？」

卓田礼奈の焦った様子を見て、鈴木音夢は眉を軽く上げた。「反対なんてしないわ。世介が好きなら、私は絶対に意見しないわ。」

鈴木音夢がそう言うのを聞いて、卓田礼奈は彼女を抱きしめた。「お義姉さん、やっぱりあなたが一番いい。これで安心して彼を追いかけられます。」

兄が彼女と結婚するとはいえ、彼女と鈴木世介には血縁関係がないのだから、なぜ一緒になれないのだろう？

ただ杏子は、将来彼女を叔母と呼ぶべきか、それとも小叔母と呼ぶべきか。彼女は小叔母という呼び方の方が好きだった。

この夕食会は、正式に鈴木音夢と杏子を歓迎するためのものだった。

夕方、卓田越彦は人を遣わして鈴木世介を迎えに行かせた。