第205章 怖がらないで、叔父さんがいるから11

鈴木音夢は彼の様子を見て、特に不機嫌そうには見えなかった。

彼女は試しに尋ねた。「おじさま、何があっても、私を追い出したりしないですよね?」

卓田越彦は彼女の質問を聞いて、苦笑いを浮かべた。

彼女は知らないのだろうか、この5年間、彼が彼女をどれほど必死に探し続けてきたかを。

やっと見つけたというのに、このチビは彼に可愛らしい娘まで産んでくれたのに、どうして追い出すことができようか?

「ああ、追い出さないと言ったら追い出さない。チビ、おじさまを信じていないのか?」

「信じていないわけじゃないです、おじさま。ただ少し不安で...」

彼女は彼を信じているからこそ、5年間ずっと耐え続けてきた。おじさまは約束を守る人だと信じて、いつか彼の側にいられると信じていた。

「何を不安がっている?俺がいるじゃないか。どんな大きな問題が降りかかっても、俺はお前より背が高いから、お前を守ってやる。お前には何も当たらない。」

この言葉に、鈴木音夢はようやく落ち着いた。彼女はつま先立ちになって、彼の頬に軽くキスをした。

「おじさま、本当に優しいです。」

彼は眉を上げた。この小悪魔め、体調が良くないのを知っていながら、彼を誘惑するとは。

「チビ、俺に隠していることがあるんじゃないか?今日はどうしてそんなに慌てているんだ?」

さすがはビジネス界の古狐、彼は今日のチビが少し様子がおかしいことに気づいていた。

鈴木音夢は彼にそう聞かれて、言うべきか迷った。

しかし、どう切り出せばいいのかわからなかった。彼は強引で嫉妬深い人だから。

あの写真のことを、どう説明すればいいのだろう?

恋愛では、時にこのように不安になりがちだ。ただ相手のことを大切に思うあまり、失うことを恐れるから。

鈴木音夢は結局言い出せなかった。「おじさま、スマホのニュースサイトに私たち二人のことが載っていて...少し怖くなって。」

「バカだな、これはいずれ明るみに出ることだったんだ。おじいさまが来月28日に婚約式をすると日取りを決めたが、どう思う?」

「来月28日ですか?」

鈴木音夢は日にちがもう決まっていたことに驚いた。彼女は全く知らなかった。