諌山お母さんは急いでベッドから降りた。「あなた、天音寺はあんなに遠いし、それに大奥様は年を取っているから、往復で3、4日もかかるわよ。」
「余計なことを言うな、急げ。諌山家が没落したら、お前は北西の風を飲むことになるぞ。」
畑野大奥様は仏教を信仰しており、時々寺院で修行をしていた。
さらに、天音寺は非常に有名な古刹で、参拝者も多く、環境も静かで、大奥様のお気に入りだった。
諌山お母さんは服を着替え、朝食さえも車の中で食べることにして、運転手に急いで天音寺へ連れて行くよう頼んだ。
卓田家では、鈴木音夢と卓田越彦が朝食を取っていた。
このような事態が起きた後、音夢はまだ卓田家の人々に顔向けできないと感じていた。
朝食の途中、越彦はテレビをつけ、ニュースチャンネルに合わせた。
テレビを見て、音夢の心はまだ震えていた。
今、ネット上の人々は、彼女のことをどう思っているのだろうか?
卓田越彦は彼女が何を考えているかを知っているかのように、彼女の頭を無理やりテレビの方に向けた。
ニュースでは、なんと諌山雪乃が映っていた。上半身だけが見えた。
彼女は写真が実際には自分が撮ったものだと認め、嫉妬のために合成して鈴木音夢を陥れたと自ら告白していた。
しかし音夢は自分の心の中でよく分かっていた。あの写真は確かに自分が撮ったものだと。
諌山雪乃は彼女をとても憎んでいたはずなのに、どうしてあの写真が自分のものだと認めるのだろう?
彼女は思わず隣の男性を見た。「おじさま、あなた...どうやってそんなことを?あんな大きな死んだ猫を、諌山雪乃が飲み込むなんて?」
「言っただろう、誰が蒔いた種も、自分で飲み込ませると。安心しろ、あの写真は世介がすべてハッキングして消した。海外のサイトからもな。ただ、一セットだけ残しておいたがな。」
音夢は少し困った様子で、「おじさま、あなた...なぜ残しておくの?」
卓田越彦は彼女の手を握り、「チビ、実は前から言いたかったんだ。写真の出来はとても良かった。だが、私だけが見られるようにしておく。」
音夢の顔は思わず赤くなった。彼はそう言うことで、彼女を責めていないということか?
このとき、ニュースは次の項目に移った。