第244章 誰が彼の女に手を出すか12

敷田は旦那様の焦った声を聞いて、急いで説明した。「まだ切られていません。その時、家の使用人たちが若奥様を助けに入ってきて、若奥様が銃を取り出して、ようやくボディガードたちを抑えることができました。坊ちゃんの電話はずっと繋がらなくて、旦那様、早く戻ってきて事態を収拾してください。さっき諌山お嬢様が坊ちゃんの部屋で寝ようとしていました。」

卓田正修は敷田の話を聞いて、その場面を想像すると頭が痛くなってきた。

「若奥様が無事で良かった。敷田、お婆様はしっかり世話をしないといけないよ。私は明日すぐに戻るから、坊ちゃんの部屋には誰も入れるな。」

卓田正修は電話を切り、眉間をさすった。南町の工事現場で問題が起きて、息子がそれを処理しに行ったのだ。あそこはおそらく停電しているだろう。

もし息子が戻ってきてこの事を知ったら、諌山家の母娘は命さえ危ないだろう。

林柳美はちょうどフェイスマスクをしていたが、もうそれどころではなかった。

彼女はフェイスマスクを剥がして言った。「あなた、家で何があったの?どうして音夢の指を切るなんて話になってるの?」

「お婆様は間違いなく諌山家の人に利用されたんだ。あの諌山雪乃が大人しいわけないだろう?彼女が意図的に写真を流出させなければ、メディアが知るはずがない。ふん、お婆様が彼女を守っているからといって、私が許すわけではない。卓田家を傷つけるようなことをする勇気があるなら、自分にその力があるかどうかも考えるべきだ。」

卓田正修はお婆様を尊敬していた。なぜなら彼女は畑野心美の母親だからだ。

しかし、だからといってお婆様が好き勝手にすることを許すわけではなかった。

「音夢は大丈夫なの?彼女に何かあったら、越彦が戻ってきたら、大変なことになるわよ?」

「あの娘は賢いから、おそらく越彦の祖母を敬って、身を引いたんだろう。はぁ、ただでさえあの娘には辛い思いをさせているのに、もし彼女がいなかったら、越彦は今でも目が見えないままかもしれないのにな。」

林柳美はうなずいた。自分も母親として、その気持ちは理解できた。

「荷物をまとめてくるわ、明日には戻るから。あなた、今夜は台風が来るから、杏子と一緒に寝るわね。もし彼女が夜中に起きて怖がったら大変だから。」