看護師が検査結果を持って入ってきて、入り口に置かれた大きな黄色いバラの花束を見て、少し驚いた。
「入り口のこの花束はあなたたちのですか?こんなに綺麗な花、捨てるんですか?」
看護師はこのまま捨てるのはもったいないと思い、思わず持ち込んだ。
鈴木音夢はその大きなバラの花束を見て、少し驚いた。
彼女は思わず尋ねた。「看護師さん、さっき入り口に誰か立っているのを見ませんでしたか?この花は誰が送ったんですか?」
看護師は少し考えてから、入ってきた時には背の高い立派な後ろ姿しか見なかったと言った。
「たぶん男性だったと思います。背が高くて大きな人で、後ろ姿しか見えませんでした。この花が彼からのものかどうかはわかりません。」
鈴木音夢は背の高い大きな男性と聞いて、胸がときめいた。彼女は思わず追いかけて出た。
しかしエレベーターホールまで行っても、そこには誰もいなかった。
卓田越彦が来たのかもしれない?このバラの花は彼が持ってきたのだろうか?
黄色いバラは謝罪の意味?
でも、もし彼だとしたら、入り口まで来たのに、なぜ中に入らなかったのだろう?
鈴木音夢は病室に戻り、眉をひそめた。
看護師は検査結果を古田静雄に渡した。「内部の怪我はありません。外傷は今夜気をつけて、水に触れなければ大丈夫です。」
古田静雄はうなずいた。鈴木音夢が心配して徹底的な検査を望んだだけだった。
そうでなければ、彼はとっくに帰っていただろう。
「音夢、大丈夫だって言ったでしょ。これで安心したかい?」
「あなたが無事で良かった。古田さん、じゃあ後で一緒に食事しませんか?」
鈴木音夢は申し訳なく思った。昼食をちゃんと食べられず、彼を病院に連れてきてしまったのだから。
「いいよ、彼のところに行って、きちんと説明してあげなさい。」
古田静雄は彼女が顔をしかめている姿を見るのがつらかった。
「いやです、彼なんか相手にしたくありません。」
彼はあんなにひどいことを言って、彼女を誤解している。もう彼に説明する気はなかった。
それに、彼のおばあさんも彼女を良く思っていないのに、彼を探しに行く理由なんてない。