第260章 言い争いになったら彼女にキスする4

川原欣枝は歩み寄って、「音夢さん、どうしてここに来られたのですか?社長は執務室にいませんよ」

鈴木音夢は彼がいないと聞いて、眉をひそめた。「川原秘書、卓田越彦が執務室にいないなら、どこに行ったの?」

「今夜は会食があります。星川メディアの買収に関する件で、社長は御水軒で接待中です」

川原欣枝は彼女に隠し立てはしなかったが、少し不思議に思った。彼女が社長を探しているなら、直接社長に電話すればいいのに。

社長の彼女への寵愛ぶりからすれば、社長のスケジュールを知りたいなら、全く難しくないはずだ。

何年も彼の秘書を務めてきたが、社長がこれほど一人の女性に尽くすのは初めてだった。

しかも、彼らの婚約の知らせは、すでに卓田家の広報部から正式に発表日が公表されていた。

「わかりました。ありがとう、川原秘書。私は先に行きます」