第263章 言い争いになったら彼女にキスする7

音夢のことを思うと、鈴木音夢の涙は止まらなかった。

妊娠がわかった時から、彼女はずっとこの子を守れるか不安だった。

やっと十月十日の妊娠期間を経て、無事に子供を産んだのに、杏子はこんな重い病気にかかってしまった。

彼女は考えたくもなかった、もし卓田家が杏子を返してくれなかったら、自分はどうなるのだろうか?

彼女には卓田家と争う力もない。杏子が彼女と一緒にいれば、苦労するだけだ。

卓田家なら、最高の世話を受けられる。健康に成長できる。

恋しさの苦しみよりも、彼女は杏子を失うことをもっと恐れていた。

この瞬間、杏子を失うかもしれないと思うと、鈴木音夢の心は空っぽになった。

彼女はソファに一時間以上座り、頭の中でもずっと考え続けていた。

十一時頃になって、彼女は浴室に入った。