第284章 豊田家の玉の飾り3

鈴木音夢は彼がそう言うのを聞いて、ようやく安心した。

結局のところ、卓田越彦に対して野心を持つ女性なら、彼女は決してその女を越彦の側に置いておきたくなかった。そんなに寛大ではなかったのだ。

「この女優、もう少し選び直した方がいいわ。でも、おじさま、私はあのメイクさんが気に入ったの。今後、彼女を私のアシスタントにしてもらえないかしら?」

あの日、撮影現場では井上菜々だけが好意的だった。彼女に対して好感を持っていた。

「いいよ、君は将来会社の副社長だって言ってるだろう。エンターテイメント会社のことは、君が自由に決めていい。とにかく覚えておいて、何があっても君のおじさんがついている。永崎城では、君は好きなように振る舞っていい。」

音夢は口元を少し上げ、思わず彼の頬にキスをした。卓田様は眉を開き、笑顔になった。