第283章 豊田家の玉の飾り2

鈴木音夢は時間を確認して、「わかったわ、到着したら、今夜うちに食事に来ない?」と言った。

「姉さん、夜は時間があるかどうかわからないよ。会社に戻らなければならないかもしれない。飛行機に乗るところだから、もう話すのはやめておくよ」

「わかったわ、気をつけてね」

鈴木音夢は電話を切り、卓田礼奈を見た。

先ほど鈴木音夢が電話をしている間、卓田礼奈は耳を澄ませて聞いていた。

もし彼が空港から出てきて、彼女が外で待っているのを見たら、驚くだろうか?

鈴木音夢は彼女の表情を見て、眉を少し上げた。「礼奈、お兄さんがチケットを2枚くれたの。今夜オークションがあるんだけど、興味ある?」

「あるわ、お義姉さん、チケットはどこ?」

卓田礼奈はちょうど空港に行く口実を探していたところだった。これで良かった、義姉さんの名目で空港に行けるわ。

「持ってくるわ」

鈴木音夢はチケットを彼女に渡し、卓田礼奈は嬉しそうに自分の車で出かけた。

音夢は叔父が不機嫌になるのを恐れ、チケットを卓田礼奈に渡した後、書斎に上がった。

卓田越彦は電話中で、ドアの所に立っているチビを見て、手招きした。

鈴木音夢は彼の方へ歩いていき、彼は彼女を自分の膝の上に抱き上げた。

10分後、卓田越彦はようやく電話を切った。「ダーリン、何か話したいことがある?」

鈴木音夢は彼がこんなに忙しいのを見て、数日前には卓田家の株価が下落していたことを思い出した。

今日、彼は自分と一緒にいるために会社に行かなかった。

鈴木音夢は彼の首に腕を回して、「叔父さん、午後は家で私に付き合わなくても大丈夫よ。あなたの仕事をしてきて。今は杏子が家にいるから、私は絶対に退屈しないわ」

卓田越彦は彼女の手を握り、彼女の手のひらをさすりながら、「僕がいなくていいの?でも、チビ、君はスターになりたいの?よかったら、最近買収したエンターテイメント会社を君に任せようか?どう?」

「叔父さん、冗談じゃないでしょう?私がどうやって会社を経営するの?私はスタントダブルしかできないわ」

鈴木音夢はずっと自分のキャリアを持ちたいと思っていたが、もし本当にその子会社を任されたら、失敗するのが怖かった。

「バカだな、僕がいるじゃないか?元々映画業界に進出したのも君のためだよ。以前は君がスターになりたいと思っていたから」