卓田越彦は頷いた。卓田製薬は主に漢方薬の研究開発を行っており、自社の漢方薬材料栽培基地も持っている。
薬材の収集は比較的容易で、谷口おじさんはこの分野の権威だ。
「谷口さんが数百種類の貴重な薬材を集めていて、しかも年代物だと聞いたよ。お父さんから聞いてない?取り戻したものだから、あなたが飲むのにちょうどいいわ。前に杏子を産んだ時に体を十分に養えなかったから、今は取り戻さないと」
あの時期、彼女は一人で子供を育てていて、きっととても大変だったに違いない。
卓田越彦はその光景を思い浮かべると、胸が痛くなった。
鈴木音夢はまず一口飲んだ。濃厚な薬の香りとお酒の香りが混ざり、飲み込むと体全体が温かくなるのを感じた。
「このグラス一杯を全部飲んで、それから風呂に入れてあげるよ」