第290章 豊田家の玉の飾り9

彼は長年探し続けたが、まったく手がかりがなかった。霊族はもともと神秘的で、部外者が簡単に入口を見つけられるものではなかった。

この玉の飾りの出現は、きっと暁美が北海道を離れたことがあるということだろう。

もしかして暁美は何か困難に遭遇して、玉の飾りを売らなければならなかったのだろうか?

これだけの年月が経って、彼女がどう暮らしているのかわからない。

どんなことがあっても、彼はこの生涯でもう一度暁美に会えることを願っていた。

一方、オークションが終わった後、鈴木世介は卓田礼奈を送り届け、ついでに姉と杏子を見に行った。

卓田越彦は彼女が笑顔で帰ってくるのを見て、眉を少し上げた。「今日は何か良いものを落札したのか?」

「いいえ、お兄さん、一銭も使わなかったわ。でも今日、誰かが3000万円で玉の飾りを買ったの。驚いたわ。玉の飾りなんて、どんなに質が良くても3000万円の価値はないでしょう?」

鈴木音夢はそれを聞いて驚いた。「どんな玉の飾りなの?3000万円の価値があるの?」

「玉の質はとても透き通っていたわ。平安時代の高官の家宝だとか言ってたわ」

卓田礼奈がまだ話そうとしたが、鈴木世介が杏子と遊んでいるのを見て、思わず近づいていった。

鈴木音夢は首を振りながら、小声で言った。「3000万円で石ころを買うなんて、きっと私なら心が痛むわ」

卓田越彦はその玉の飾りの話を聞いて、眉をしかめた。もしかするとその玉の飾りには何か秘密が隠されているのかもしれない。

30分後、鈴木世介は帰り、鈴木音夢は部屋に戻った。

彼女は午後に『女警の真髄』の脚本を注意深く読んだ。この脚本は実にうまく書かれていた。

卓田家が星川エンターテイメントを買収したばかりだったので、優れたドラマを制作できれば最高だった。

長い間スタントをやってきて、ようやく自分で小さな役を演じることができる。鈴木音夢は心の中でとても嬉しく、期待していた。

卓田越彦はシャワーを浴びて出てくると、彼女の手から脚本を取り上げた。「ダーリン、君に役を演じさせることは約束したけど、家にいる時は僕に集中してほしい。他のことを考えるのは禁止だ」