第289章 豊田家の玉の飾り8

この玉の飾りを見て、最も興奮したのは豊田景明の他に、ちょうどテレビを見ていた鈴木国彦だった。

鈴木国彦は一年前に脳卒中を患い、言葉がはっきりせず、片足も不自由になっていた。

その玉の飾りが3000万円という高値で落札されたのを見て、彼はほとんど血を吐くほど怒った。

あの玉の飾りを、彼は間違えるはずがなかった。当時、林暁美が肌身離さず持っていたもので、彼女が最も大切にしていたものだった。

後に彼が夜中に奪い取り、50万円で売り払った。当時は大金を手に入れたと思い、長い間喜んでいた。

彼は玉の飾りを売った後、その金で財を成した。

あの玉の飾りがこれほど価値があるとは、彼は思いもしなかった。

今、この粗末な家に閉じこもっている鈴木国彦が興奮しないわけがあるだろうか?

鈴木玉子は彼がずっとテレビを指差しているのを見たが、彼の言うことは聞き取れなかった。