この玉の飾りを見て、最も興奮したのは豊田景明の他に、ちょうどテレビを見ていた鈴木国彦だった。
鈴木国彦は一年前に脳卒中を患い、言葉がはっきりせず、片足も不自由になっていた。
その玉の飾りが3000万円という高値で落札されたのを見て、彼はほとんど血を吐くほど怒った。
あの玉の飾りを、彼は間違えるはずがなかった。当時、林暁美が肌身離さず持っていたもので、彼女が最も大切にしていたものだった。
後に彼が夜中に奪い取り、50万円で売り払った。当時は大金を手に入れたと思い、長い間喜んでいた。
彼は玉の飾りを売った後、その金で財を成した。
あの玉の飾りがこれほど価値があるとは、彼は思いもしなかった。
今、この粗末な家に閉じこもっている鈴木国彦が興奮しないわけがあるだろうか?
鈴木玉子は彼がずっとテレビを指差しているのを見たが、彼の言うことは聞き取れなかった。
彼女はいらだちながら、バッグから封筒を取り出した。「これは今月の生活費よ、節約して使いなさい」
鈴木成典は受け取って中身を見た。「姉さん、こんなわずかな金額じゃ、足りないよ」
鈴木玉子はまだ24歳だったが、すでに老けた様子を見せていた。4年前、やむを得ず、彼女は60歳近い老人と結婚した。
このお金が、あの老いぼれの世話をして得たものだと思うと。
鈴木玉子は怒って足を蹴り出した。「鈴木成典、ここ数年、私があなたたちを養っていなかったら、あなたたちはとっくに飢え死にしていたわ。このお金が欲しくなければいいわ。とにかく今月はもう渡さないから」
言い終えると、鈴木玉子は怒って出て行った。
毎晩老人の隣で寝ていることを考えると、彼女は吐き気を催した。
しかもあの老いぼれは変態で、毎日様々な方法で彼女を苦しめた。
鈴木国彦はまだじっとテレビを見つめ、心の中ではほとんど後悔で死にそうだった。
誰でも玉の飾りを50万円で売って、突然3000万円の高値で落札されたら、血を吐くだろう。
オークション会場で、豊田景明は玉の飾りを手に入れた後、帰り道ずっと一言も発しなかった。
陽川恵美は彼がどうしたのか尋ねたかったが、彼の表情があまりにも険しかったので、我慢して聞かなかった。
古田家に戻ると、陽川梅子もあの玉の飾りが上質な羊脂の玉だと知っていたが、3000万円を払って落札する価値があるとは思わなかった。