古田静美は外向的で明るい性格で、おおらかで、誰とでもすぐに打ち解けるタイプだった。
鈴木世介は卓田礼奈が不機嫌なのを知っていたので、古田静美の言葉に答えず、「お嬢さん、申し訳ありませんが、私たちは知り合いではありません。中に入りましょう」と言った。
卓田礼奈は彼がこの古田静美とゆっくり話すと思っていたが、鈴木世介がそう言うのを聞いて、急いで彼の後について中に入った。
さっき、鈴木世介は態度を表明したと言えるだろうか?
卓田礼奈は内心喜んだが、古田静美は鈴木世介の態度を気にしていないようだった。
陽川梅子が近づいてきて、自分の娘を見て、「詩雨、さっきの男の子はあなたの友達?」と尋ねた。
「今はまだ友達とは言えないわ。ママ、私たちも中に入りましょう」
陽川梅子と古田千斗は考古学者だったので、年代物のものに非常に興味を持っていた。
一方、豊田家の豊田景明は骨董品収集に興味があった。
今回永崎城に来たのは、一つには古田静雄が戻ってきたからであり、もう一つはこのオークションのためだった。
豊田家一行は前列の席に座った。
卓田礼奈と鈴木世介は2列目に座っており、豊田景明は鈴木世介を見たとき、少し足を止めた。
すぐにオークションが始まり、最初の品物は大正時代の粉彩双耳花瓶だった。
オークショニアは歴史から工芸まで一通り紹介し、それからオークションを開始した。
豊田祐助は振り返って見て、「お父さん、この花瓶はあなたの目に適うものですか?」と尋ねた。
「ありふれた品だ」
たった四文字の言葉だけで、豊田景明の威厳が十分に表れていた。
その後いくつかの品も非常に特徴的なものだったが、卓田礼奈はこれらのものに興味がなかった。
「鈴木世介、あなたが気に入ったものはありますか?」
もし彼が好きなものがあれば、彼が受け入れるという前提で、卓田礼奈は落札するつもりだった。
「私はこういう高価で実用的でないものは好きではない」
認めたくはなかったが、実際彼はただ彼女と話すきっかけを探していただけで、本当に何かを買い求めるつもりはなかった。
約30分ほど経ったとき、オークショニアは箱を押して出てきた。
照明の下で、その玉の飾りはより透き通って見え、その上に彫られた龍の文様は生き生きとしていた。