古田静美は手を引っ込めた。彼女は少し不満そうに言った。「お兄ちゃん、ちょっと見ただけなのに、そんなに緊張することある?こんなに可愛いお城、私へのプレゼントじゃないの?」
古田静雄は箱の蓋を閉め、彼女を一瞥した。「お前いくつだよ?まだこんなもので遊ぶの?これは杏子へのプレゼントだよ」
古田静美はすでに鈴木世介の情報を聞き出していた。彼と一緒にいる女の子は卓田礼奈といい、鈴木世介を2年間追いかけていた。
しかし鈴木世介は彼女を受け入れることもなく、他の女性の友達もいなかった。だから、自分にもチャンスがあるかもしれない。
「お兄ちゃん、卓田家に行くの?」
彼女は鈴木世介が姉のところにいるかどうかわからなかったが、彼に会えるかもしれない。
そう思うと、古田静美は古田静雄の手を引いた。「お兄ちゃん、私も連れて行ってくれない?私も卓田家に行きたいの」
古田静雄は彼女の哀れな様子を見て、自分がこの数年間家にいなかったことを思い出した。幸い彼女が家にいて両親の相手をしてくれていた。
「いいよ、一緒に行こう。音夢も私が一人余計に連れて行っても気にしないだろう」
古田静雄がそう言うのを聞いて、古田静美は彼の手を離した。「お兄ちゃん、待っててね、服を着替えてくるわ」
結局、古田静雄は階下で彼女を30分待ったが、まだ出てくる気配はなかった。
古田静雄は少し待ちくたびれて、上階に行ってドアをノックせざるを得なかった。「詩雨、行くの行かないの?」
「もうすぐ出るわ」
古田静美がドアを開けて出てきたとき、古田静雄はびっくりした。
彼の妹は、小さい頃からこういう淑女風のドレスを着るのが好きではなかった。
彼女が突然こんな格好をしているのを見て、古田静雄は少し違和感を覚え、思わず尋ねた。「詩雨、大丈夫か?」
古田静美は眉をひそめ、自分を見下ろした。「お兄ちゃん、変かな?じゃあ別のに着替えるわ」
古田静雄は彼女がまた服を着替えに行って、30分経っても出てこないことを心配して、急いで彼女を引き止めた。「いいよ、似合ってる。ただ食事に行くだけなのに、お見合いに行くわけじゃないんだから」
古田静美の顔が少し赤くなり、彼について階下に行くしかなかった。
卓田家では、林柳美が夜に客を招くと聞いて、家の中を少し飾り付けていた。