元々卓田正修の誕生日は大々的に祝うつもりはなかったが、今年は音夢と杏子が帰ってくることを考慮した。
誕生日会を借りて、まず彼女たちを親戚や友人に紹介し、来月は彼らの婚約パーティーだ。
占い師が結婚に最適な日を占ったところ、年が明けてからの方が良いとのことだった。
鈴木音夢は卓田正修の誕生日を心に留めており、ほぼ退社時間になると、自ら最上階の社長室へ向かった。
卓田越彦のオフィスには人がいて、川原秘書は彼女を休憩室で待たせ、果物とお茶でもてなした。
約10分後、川原秘書は鈴木音夢を中へ案内した。
鈴木音夢は彼の広い机の上にまだ多くの書類が置かれているのを見て、大社長は本当に多忙だと感じた。
最近彼女も出社するようになり、卓田越彦の苦労がより理解できるようになった。
彼女は、今後できるだけ多くのことを学び、彼の負担を少しでも分かち合えればと考えていた。