この時、卓田家の正門の外に、黒い伸長型のベントレーが卓田家の門前に停まっていた。
黒いスーツを着た男性が颯爽と車から降りてきて、手にはバラの花束を持っていた。
卓田正修が前に歩み出て、「畑野さん、こんなに気を遣ってくれるなんて、数年ぶりだけど、潤矢はますますハンサムになって、ほとんど見分けがつかないよ」と言った。
「卓田さん、あなたの越彦こそ優秀だよ。この生意気な息子も昨日やっと帰国して、今日一緒に来させたんだ」
畑野家の父親は自分の息子にとても満足していたが、それでも謙虚にしていた。
「卓田おじさん、お誕生日おめでとうございます」
畑野潤矢は挨拶を終えると、視線を隣の卓田礼奈に向けた。
今日の彼女は、子供の頃よりもさらに美しく見えた。
「礼奈、久しぶり、この花を君にあげるよ」