第321章 愛情、言葉にしなければ6

卓田礼奈は畑野潤矢を連れて自宅の裏庭に行き、手に持っていたバラの花束を使用人に渡して花室に入れてもらった。

畑野潤矢は少し先にあるブランコを見て、思わず言った。「礼奈、覚えてる?小さい頃、君はブランコが大好きで、いつも僕に後ろから押してもらってたよね」

卓田礼奈はそのブランコを見て、冷たく鼻を鳴らした。「よくそんなこと言えるわね。あの時、あなたが強く押しすぎて、私が落ちたじゃない」

畑野潤矢は鼻をこすりながら、その出来事を思い出し、心の中で当時はとても申し訳なく思っていた。

「ごめん。今、乗ってみない?今度は絶対落とさないから」

卓田礼奈も退屈していたし、前庭で鈴木世介と古田静美が親密にしている姿を見たくなかった。

だから、彼女は畑野潤矢をここに連れてきたのだ。