命に関わることなので、豊田祐助もあきらめきれず、「お父さん、今回こそ見つかるかもしれない。この人は誰なの?」
豊田祐助は絵巻の人物を見つめた。一目で美人だとわかる。
豊田景明は若い頃、手に持っていたのは刀や銃であり、筆を持ったことなどなかった。
彼が絵を描くようになったのは、ただ林暁美のためだった。
会えない彼女の写真さえ一枚も持っていないので、記憶の中の彼女の姿を筆で描くしかなかった。
しかし、どう描いても彼女の魂を表現することはできなかった。
「これはね、玉の飾りの持ち主で、私が最も愛した女性だよ」
豊田景明は隠さなかった。これほど長い年月、林暁美は常に彼の最愛の女性だった。
父がそう言うのを聞いて、なるほど、どれだけお金がかかっても玉の飾りを競り落としたいと言っていた理由がわかった。