第363章 チビ、お前は俺のものだ16

命に関わることなので、豊田祐助もあきらめきれず、「お父さん、今回こそ見つかるかもしれない。この人は誰なの?」

豊田祐助は絵巻の人物を見つめた。一目で美人だとわかる。

豊田景明は若い頃、手に持っていたのは刀や銃であり、筆を持ったことなどなかった。

彼が絵を描くようになったのは、ただ林暁美のためだった。

会えない彼女の写真さえ一枚も持っていないので、記憶の中の彼女の姿を筆で描くしかなかった。

しかし、どう描いても彼女の魂を表現することはできなかった。

「これはね、玉の飾りの持ち主で、私が最も愛した女性だよ」

豊田景明は隠さなかった。これほど長い年月、林暁美は常に彼の最愛の女性だった。

父がそう言うのを聞いて、なるほど、どれだけお金がかかっても玉の飾りを競り落としたいと言っていた理由がわかった。

母に対しては、父の気持ちはおそらく恩義によるものが大きかったのだろう。

「わかりました、お父さん。先に出ます」

豊田景明は息子が出て行った後、絵の中の人物の眉や目を丁寧に描き続けた。

生きている間にもう一度彼女に会えることを願うだけだった。たとえ白髪が増えていても。

彼の目には、彼女はいつまでも最も美しい人だった。

豊田祐助が病院に戻ると、彼女は集中治療室からは出たものの、肺に感染症を起こしており、現在も人工呼吸器をつけ、非常に衰弱していた。

豊田祐助は彼女の手を握り、「大丈夫だよ、必ずあらゆる方法で君を救うから、絶対に良くなってね」

翌日、豊田祐助は自ら手配を始めた。父は霊族の入口を何度も探して失敗したと言っていたが、今回はチャンスがあるかもしれない。

古代の少数民族のような存在が、特別な薬草を持っていても不思議ではない。

卓田家では、鈴木音夢の失踪により、家全体が憂いの霧に包まれていた。

卓田越彦の表情はますます冷たくなり、杏子以外にはほとんど話しかけなくなった。

救命処置の末、岩山はようやく目を覚ました。

卓田越彦はすぐに彼のベッドに駆けつけ、状況を尋ねた。当時の状況を知っているのは彼らだけだった。

岩山は兄が昏睡状態で、若奥様の行方がまだわからないと知り、非常に後悔していた。

「旦那様、申し訳ありません...私たちの警護が不十分でした」

「岩山、当時の状況を詳しく教えてくれ」