第361章 チビ、お前は俺のものだ14

竜川は近くの診療所に運ばれ、今もまだ意識を取り戻していない。

この二日間のニュースを見て、彼が卓田家の人間だと知り、急いで電話をかけた。

卓田越彦は竜川の怪我を見て、すぐにヘリコプターを呼び、竜川を卓田病院へ移送させた。

竜川を送った後、卓田越彦は杏子を連れて周辺の地形を調査し始めた。

鈴木音夢は当時彼らと一緒にいたが、おそらく洪水で離ればなれになり、どこに流されたのかわからない。

しかし、永崎城のほぼ全域を探しても、鈴木音夢の行方はわからなかった。

多くの人は彼女が生存している可能性はほとんどないと思っていたが、卓田越彦の前でそのようなことを言う勇気のある人はいなかった。

今回の事故で救出された人々は、ほとんどが重傷を負っていた。

井上菜々もかなりの怪我を負っており、林浅香を救うために足の怪我を悪化させていた。

彼女が目を覚ました時、反射的に周りを見回したが、そばには誰もいなかった。

この世界で、彼女を気にかける人はほとんどいなかった。

もし彼女がこの事故で死んでいたら、おそらく一滴の涙を流してくれる人もいないだろう。

彼女は以前、田舎で育ち、15歳の時に母親の再婚に伴って永崎城に引っ越してきた。

当時、母親の再婚に特に感情はなく、むしろ永崎城という都市に義理の兄がいることで、心に期待を抱いていた。

残念ながら、継父はギャンブル中毒者で、彼女の大学進学のためのお金さえも奪って使い果たしてしまった。

そして母親は、彼女の目にはもはや娘のことを気にかけているようには見えなかった。

井上菜々はベッドから降り、看護師にリンダの病室を尋ねた。

歩くのはまだ不便だったが、命が助かったのは幸運だった。

病室の前に来ると、半開きのドアから古田静雄がタオルを持ってリンダの体を拭いているのが見えた。

あのような男性が、リンダの手の甲をそんなに優しく拭いている様子を見て、井上菜々は思わず羨ましく思った。

医師が回診に来たので、井上菜々は静かに脇に退き、後ろにいた若い看護師を引き止めた。

「看護師さん、すみませんが、この病室の患者さんの状態はどうですか?」

「命に別状はありませんが、脳に強い衝撃を受けており、いつ意識を取り戻すかはまだわかりません。」

看護師はそう言って、中に入っていった。