第360章 チビ、お前は俺のものだ13

この時、杏子は目を覚まし、おじいちゃんとお父さんがいるのを見たが、お母さんがいないことに気づいて、がっかりした。

林柳美が食べ物の入った箱を持って入ってきて、後ろには二人の使用人が続いていた。

卓田正修はテーブルを引き寄せ、たくさんの料理を並べた。

「杏子、あなたは数日間ちゃんと食事をしていないわ。おばあちゃんが煮込みのお粥を作らせたから、お父さんと一緒に少し食べてみない?」

鈴木音夢の生死が不明な今、卓田越彦も食事をする気分ではなかった。

しかし、痩せこけた娘を見て、自分が食べなくても、彼女に食べさせなければならなかった。

卓田越彦は彼女を起こし、「杏子、お父さんと一緒に食べようか?体が良くなったら、お父さんと一緒にお母さんを探しに行こう。」

「本当?本当に私も連れて行ってくれるの?お母さんを探しに?」

卓田越彦が彼女も一緒にお母さんを探しに行くと言うのを聞いて、杏子の目は輝いた。

「うん、だから早く元気にならないとね。」

卓田越彦は手を伸ばして彼女の小さな頭をなでて、一口ずつ食べさせた。

杏子は二口お粥を食べて、味が悪くないと感じた。「お父さん、私は自分で食べられるから、あなたも食べて。」

卓田正修と林柳美は彼らがようやく食事をする気になったのを見て、ほっとして、静かに部屋を出た。

三日後、杏子はついに病院を退院したが、鈴木音夢についてはまだ何の知らせもなかった。

ほぼ永崎城のすべての人が知っていた、卓田家若奥様の情報を持っている人には高額な報酬が出ることを。

卓田越彦は杏子を連れて川辺に来た。この時、川の水はすでに元の状態に戻っていた。

ただ、彼のチビは今でもどこにいるのか分からなかった。

杏子は黙っていた。彼女はお母さんが水に落ちたことを知っていた。「お父さん、お母さんはいったいどこにいるの?いつ帰ってくるの?」

この質問をした後、杏子はついに我慢できずに泣き出した。「お母さんに会いたい...」

「きっと帰ってくるよ、お母さんは必ず戻ってくる。ダーリン、お母さんは杏子が大好きだから、絶対に杏子を置いていかないよ。」

卓田越彦は彼女を連れて、川沿いを一周した。

昼頃、卓田越彦が杏子を食事に連れて行こうとしていたとき、携帯電話が鳴った。