第372章 杏子、掌中の花9

この期間、会社には確かに多くの案件が滞っていて、多くの投資案がまだ卓田越彦の決裁を待っていた。

卓田越彦は彼女を見つめ、「君がここにいるのが心配だ。今日は家で君に付き添おう。秘書に資料を持ってきてもらえばいい」と言った。

茉莉は彼が家にいると聞いて、眉をわずかに上げた。

彼が家にいれば、彼女の行動はさらに不便になるだろう。

卓田越彦のような人物に対して、彼女は絶対に油断するわけにはいかなかった。

「私の体はほとんど良くなったわ。ただ喉はゆっくり治さないといけないけど、体の傷は全部表面的なものよ。私がいなかった間、会社にはたくさんの仕事が溜まっているでしょう?大丈夫よ、家には柳田おばさんがいるじゃない」

彼女がそう言うのを聞いて、卓田越彦はうなずいた。「家には医師がいる。何か具合が悪くなったら、すぐに医師に言うんだ。私の電話は24時間通じているから、何かあったら電話してくれ」