第373章 杏子、掌の上の花10

茉莉は振り向いて、卓田家の外の緑豊かな芝生と美しい景観を眺めた。今は秋に入り、外の木々の一部が黄色みを帯び始めていた。卓田家の古い邸宅は本当に美しかった。

「杏子、ママは景色を見ているのよ」

茉莉はこの小さな尾っぽが何か企んでいるかもしれないと思った。行動するときは、絶対にこの小さな尾っぽを振り切らなければならない。

杏子は少し心配そうに、彼女の服の裾を引っ張った。「ママ、まだ体調が良くないから、部屋に戻って休んだ方がいいんじゃない?」

チビちゃんのそんな言葉を聞いて、茉莉はうなずき、彼女の手を引いて階段を降りた。

林柳美はちょうど階段を上がってきて、彼女たちにスープを飲みに来るよう声をかけようとしていたところ、鈴木音夢が杏子を連れて三階から降りてくるのを見た。