第365章 杏子、掌中の花2

二時間以上経って、卓田風太が人を押して出てきた時、卓田越彦は思わず緊張した。「風太、音夢は大丈夫か?」

「命に別状はないよ。でも体の複数箇所に怪我があって、頭部も衝撃を受けている。義姉さんが目を覚ましたら、詳しい検査をして、後遺症が残るかどうかわかるんだ。でも兄さん、安心して。義姉さんはとても強い人だから、きっと大丈夫だよ」

卓田越彦はうなずいた。この数日間、彼はまさに針の筵に座るような思いだった。

彼は鈴木音夢に何も求めていない。今は彼女が無事であることだけを願っていた。他のことは何も重要ではなかった。

その後、茉莉は特別病室に運ばれた。

杏子と卓田越彦は横に立ち、静かに彼女を見つめていた。

「パパ、ママはいつ起きるの?」

以前、彼女が病気の時はいつもママが看病してくれた。