第378章 杏子、掌上の花15

卓田風太が車を運転しようとしていたところ、卓田越彦の言葉を聞いて動きを止めた。「兄さん、そんなに急ぎですか?まだ食事もしていないんですが。」

「平村さんが約20分後に病院に到着する予定だ。急いで食べて、この件は他の者には任せられない。お前が直接やってくれ。」

電話越しの口調から、卓田風太は事態がやや深刻であることを感じ取った。「兄さん、何かあったんですか?」

「結果が出るまで余計な質問はするな。とにかく結果が出たら、たとえ真夜中でも即座に私に知らせろ。」

「わかりました。自分で担当します。」

卓田越彦の心も不安だった。彼も自分の行動が余計なものであることを願っていた。

茉莉は卓田越彦が階下に降りた後、しばらくして姿が見えなくなったのを見て、どこに行ったのか分からず、少し心配になった。