第377章 杏子、掌の上の花14

卓田越彦は自分の頭をよぎった考えに驚いた。もしかしてチビは偽物なのか？

しかし、もし彼女が偽物なら、どうしてこんなにも多くのことを知っているのだろう？あの顔は、どうして全く同じなのか？

しかし、もし彼女が本物なら、卓田越彦は自分の疑いが彼女を悲しませるのではないかと恐れた。

彼は深呼吸をして、感情を落ち着かせてから、監視室を出た。

彼女は頭部に衝撃を受けていたので、もし過去のことを尋ねても、彼女が覚えていなくても仕方がない。

そのとき、卓田礼奈が外から戻ってきた。彼女はこの頃、病院で実習をしながら試験の準備もしていて、忙しさで痩せたと感じていた。

ただ、兄の様子を見て、卓田礼奈は少し躊躇した。「お兄ちゃん、何を考えているの？」

「何でもないよ、杏子を見てくる」

部屋の中で、林柳美はちょうど目を覚ましたところだった。彼女は時間を見て驚いた。まさか自分がこんなに長く眠っていたとは。

卓田越彦はそのまま部屋に入り、杏子を起こした。「杏子、起きて...」

「どうしたんだろう、午後からなんだか眠くて、こんな時間まで寝てしまったわ」

林柳美の言葉を聞いて、卓田越彦の心の中の疑念はさらに大きくなった。

杏子は目を開けたが、まだ眠そうな様子だった。

卓田越彦は彼女の顔が冷たいのを感じ、かなりの冷や汗をかいていることがわかった。

「寝坊さん、パパが着替えさせてあげるよ」

卓田越彦は杏子を抱えて階段を上がり、お風呂を済ませてようやく杏子は眠気が取れた。

卓田越彦は慎重に杏子の頭から髪の毛を一本取り、ティッシュで包んでから、彼女に服を着せた。

「よし、杏子、下に行ってお姉さんと遊んでおいで」

杏子が出て行った後、卓田越彦は杏子の髪の毛をポケットに入れ、自分の部屋に入った。

今、ベッドの上の人を見ながら、卓田越彦の気持ちは複雑だった。

もしベッドの上にいるのが彼のチビでないなら、本当のチビはいったいどこにいるのか？まだ生きているのか？

卓田越彦は事を荒立てたくなかったが、自分が疑い過ぎているのではないかとも心配だった。

彼はベッドの側に行き、その顔を注意深く見た。全く痕跡がない。

茉莉はその熱い視線を感じ、少し慌てた。

彼女は目を開け、卓田越彦が自分の隣に座っているのを見た。「ご飯は食べた？」