第386章 ママの存在を感知する3

彼女がそう言うのを聞いて、ベッドの周りに集まっていた大人たちは再び緊張し始めた。「杏子、どこか具合が悪いの?」

突然、杏子の鼻から血が流れ出した。彼女は息を切らしながら言った。「お父さん、私...私はお母さんが見えるの。彼女はとても苦しんでいる、とても苦しくて、もう息ができないみたい」

杏子の言葉に卓田越彦は大きく驚いた。杏子は本当に何かを感知する能力があるのだろうか?

彼女と鈴木音夢は母娘だから、特別な感応があるのか?

ということは、音夢はきっとまだ生きている。

「杏子、あなた...お母さんがどの方向にいるか感じることができる?」

杏子は首を振った。「私はとても悲しい、でもお母さんがまだいることを知っているの、ただそれだけ」

谷口英樹は杏子の様子を見て、急いで彼女を横になるようにした。「杏子、緊張しないで、もう考えないで」

同時に、河津市立病院では、人工呼吸器から突然警報音が鳴り響いた。

唐橋哲也はモニターの数値を見て、血圧が下がり続けていることに気づき、大きく驚いた。「まずい、すぐに救命処置を!それから、祐助にすぐ病院に来るよう連絡して」

鈴木音夢は水に流されたとき、肺に感染症を起こしていた。

さらに大量出血もあり、病院に運ばれたときには、すでにしばらくショック状態だった。

彼女が今まで生きていることは、奇跡と言えるだろう。

豊田祐助は空港にいて、搭乗手続きを済ませたところだった。

彼は諦めることなく、彼女を救える方法なら何でも試してみたいと思っていた。

病院からの電話を見て、彼はすぐに出た。「もしもし...」

「豊田さん、患者の状態が急に悪化しました。唐橋先生がすぐに病院に来るようにと」

「何だって?すぐに戻る」

豊田祐助は大きく驚いた。彼女と一言も話さないまま、彼女がこのように去ってしまうなんてあり得ない。

豊田祐助が急いで病院に着いたとき、救命処置はまだ終わっていなかった。

そのとき、一人の看護師が緊張した表情で中から出てきた。

豊田祐助は彼女を止めた。「中の状況はどうですか?患者は大丈夫ですか?」

「状態はあまり良くありません。血圧がずっと低いままです。唐橋先生が全力で治療中です。私は輸血用の血液を取りに行かなければなりません」

そう言うと、看護師は急いで立ち去った。