第394章 ママの存在を感じる11

茉莉は先ほどのヘブンストライカーの言葉を思い出し、眉を少し上げた。

彼女はただの殺し屋で、任務を完遂するだけでいい。これからあのチビちゃんが生きるか死ぬかは、彼女には関係ない。

病院では、唐橋哲也が卓田越彦のために裏口から休憩室を一つ用意した。

結局、ここは河津市であって永崎城ではないので、ベッドが不足している中、これだけでも大変なことだった。

卓田越彦は本来、杏子と林柳美をホテルに泊まらせようと思ったが、杏子がどうしても離れたくないと言い張った。

卓田越彦はあきらめるしかなかった。彼は夜間、確実に鈴木音夢のそばにいるつもりだった。病室には入れなくても、彼女の近くにいることができれば、それでもよかった。

豊田祐助は夕方までずっと病院にいて、ようやく帰った。今は、彼女の娘と彼女が最も愛する男性が彼女のそばにいる。彼女はきっと良くなるだろう。

谷口英樹と卓田風太は、夜通し会議を開き、鈴木音夢の状態に対して最善の治療方針を立てていた。

今の彼女は、わずかに意識はあるものの、人工呼吸器から離れることができず、転院することもできない状態だった。

夜10時、卓田越彦は再び集中治療室に入った。

モニターの数値を見ると、まずまず安定していて、彼もほっと息をついた。

「ダーリン、杏子はもう寝かしつけたよ。柳田おばさんが彼女の面倒を見てくれているから安心して。でも、あまり長く寝ていないでね。僕たちの婚約式の日が近づいているんだ。僕はまだ君を娶るのを待っているんだよ。」

卓田越彦は彼女が自分の言葉を聞くことができると思い、彼女の耳元で話し続けた。「杏子が君に、誰かが君になりすましていたと言ったのかな?ダーリン、焦らないで。誓うよ、僕は彼女に一度も触れていない。当時、君だと思って、ただ患者のように世話をしただけで、キスさえしていない。家で彼女が触れたものはすべて、使用人に交換させた。君が良くなったら、家に帰ろう。すべてが新しいものになっていることを約束するよ。」

卓田越彦が話し終えると、モニターの数値が少し上昇したように感じたが、それでもとても安定していた。

「ダーリン、毎回君を見に来る時間はそう長くはないんだ。安心して、僕は娘の面倒をしっかり見るよ。僕は外で君を見守っているから、怖がらないで、強くいて。僕と娘は君が戻ってくるのを待っているよ。」