第395章 災難からの生還1

豊田祐助が病院に来てからそう経たないうちに、電話を受け取り、急いで帰っていった。

家に戻ってみると、上品で美しい女性が客間に座っていた。

豊田祐助は思わず眉をひそめた。これが母の言う緊急事態なのか？

陽川恵美は子供を産むことができず、ずっと豊田祐助を実の息子のように可愛がってきた。

彼がもうすぐ30歳になるというのに、一度も彼女を作ったことがない。陽川恵美が焦らないはずがない。

「祐助、ちょうど良いところに帰ってきたわ。紹介するわ、彼女は沢田雪羽よ、あなたの叔母さんの姪にあたるの」

沢田雪羽は好男子の豊田祐助を見て、思わず目をハートマークのように輝かせた。

河津市では、彼の噂はかねてから聞いていたが、本人に会うのは初めてだった。

今こうして会ってみると、河津市ナンバーワンの黄金独身男性は、確かに名に恥じない存在だった。

豊田祐助は女性に対して、常に冷淡だった。

だから、もし鈴木音夢が幼い頃の少女だと気づかなければ、おそらくこんな面倒事に関わることもなかっただろう。

「こんにちは、沢田さん」

豊田祐助の口調は冷たく、冷気を纏っているようで、沢田雪羽は一瞬気まずさを感じた。

「こんにちは、祐助さん」

彼女は最初手を差し伸べようとしたが、豊田祐助の表情を見て、軽く頷くだけにとどめた。

「祐助、雪羽は初めて私たちの家に来たのよ。家の中を案内してあげたら？」

陽川恵美は息子が不機嫌なのを知っていたが、感情は育むものではないだろうか？

それに、彼が自分で彼女を見つけられるなら、彼女がこんな心配をする必要もないのだ。

他の人は知らないが、彼はもう29歳になるのに、一度も彼女を作ったことがない。何か問題があるのではないかと思われているほどだ。

「母さん、使用人に案内させてよ。僕は用事があって父さんに会いに行くから」

豊田祐助はただ言い訳をしているだけだった。彼はこういう女性の対応が苦手だった。

それに、豊田祐助は女性に対して、ある種のトラウマを抱えていた。

幼い頃、人身売買業者の手の中にいた時、少年趣味の年配女性たちを見てきた。

お金さえあれば、人身売買業者から彼らを好きなように買っていくことができた。

当時、彼は痩せて黒かったので、そういう人たちにも見向きもされなかった。