第398章 災難を乗り越えて4

鈴木音夢の肺は損傷を受けていたので、深く息を吸うと、当然痛みを感じた。

しかし杏子と叔父さんが側にいるのを見て、彼女の心は不思議と落ち着いた。

たとえ死ぬとしても、死ぬ前に杏子と叔父さんに最後に一目会えれば、それで十分だった。

それから世介も、そうだ、弟はここにいない。

鈴木音夢は卓田越彦に向かって目を瞬かせた、まるで心が通じ合っているかのように。

卓田越彦は彼女の前に身を寄せ、「妻よ、焦らないで、世介はすぐに来るようにするから、何も心配しなくていい、すべてうまくいくよ」と言った。

唐橋哲也と谷口英樹も病室に駆けつけた。唐橋哲也は感嘆せずにはいられなかった、これは本当に奇跡だと。

本来なら、彼はあの時、言葉が重すぎて豊田祐助が辛くなるのを恐れていた。

普通の患者なら、おそらくとっくに亡くなっていただろう。