第404章 災難を乗り越えて10

この時、ちょうど夕暮れ時で、太陽はすでに西に沈み、鮮やかな残照が空の雲を金色の縁取りで染めていた。

平村さんが使用人を連れて食事を届けに来た。鈴木音夢は今からゆっくりと流動食を食べられるようになっていた。

卓田越彦は食箱を受け取り、中から高麗人參スープと粥を取り出した。

スープは高麗人參と黒鶏を煮込んだもので、黒鶏は峠山別荘から送られてきたもので、気と血を補うためのものだった。

粥はとろりと煮込まれ、中には気血を補う食材がたくさん入っていた。

卓田越彦は鈴木音夢を支え、一口一口と食べさせた。

鈴木音夢は指を動かし、自分で食べられることを示した。しかし、彼女はあまり多くは食べられず、全体的に一回り痩せたように見えた。

卓田越彦は彼女がもぞもぞ動くのを見て、口角を上げた。「バカね、私に食事をしろって言ってるの？大丈夫、まず君に食べさせてから食べるよ。急いでないから、言うことを聞いて」

鈴木音夢は今話すことができず、時々本当にもどかしく感じていた。

彼女が病気だからといって気づかないわけではない、卓田越彦自身もかなり痩せていた。

彼女がこれほど長く行方不明になり、これほど重傷を負っていたのだから、彼はきっと心配で仕方なかったのだろう。

彼女がもぞもぞ動くので、卓田越彦が粥を飲ませる時に、うっかり彼女の口元にこぼしてしまった。

彼はハンカチを取り出し、優しく拭いた。「言うことを聞いて、まず君が食べて、君が食べ終わったら私が食べるから、いい？」

鈴木音夢は仕方なく、おとなしく彼に食べさせてもらうことにした。

彼女はベッドに半身を預け、卓田越彦が一口一口と彼女に食べさせる様子を見ていた。その動作は非常に優しかった。

彼の集中して慎重な様子は、まるで稀世の宝物を扱っているかのようだった。

鈴木音夢は心の中で温かさを感じた。彼は外では高貴で傲慢な君主のようだった。

しかし彼女の前では、ただ彼女を溺愛する夫でしかなかった。

鈴木音夢は小さな茶碗の半分ほど食べると、もう食べられなくなった。

卓田越彦も無理強いはしなかった。水木風太が言っていたように、彼女の今の状態では、ゆっくりと食事をし、一度にあまり多くを食べられないのだった。

卓田越彦は子供をあやすように、高麗人參スープを持って「ダーリン、もう二口だけ飲んでくれる？」