卓田越彦は老人の表情が緊張しているのを見て、卓田家にはまだ彼の知らないものがあるのだろうか?
「お父さん、一体何なんですか?」
「虹色の玉石だ」
卓田越彦は初めて老人の口からこの言葉を聞いた。「それは何ですか?」
「越彦、これは卓田家の各世代の継承者が守るべきものだ。このものは卓田家の命脈に関わる。各世代、卓田家の継承者にのみ伝えられる。本来ならこんなに早く君に教えるつもりはなかったが、今はすでにこの玉石を狙っている者がいる。用心せねばならない」
「この虹色の玉石は一体何の役に立つのですか?」
「私もお前の祖父から聞いただけだ。彼は死の直前になってようやく玉石の存在を私に告げた。実はこの玉石は、卓田家の地下宮殿を開く鍵なんだ。ただ、我々の世代に伝わる頃には、地下宮殿の入口はすでに見つからなくなっていた。私が知っているのは中西南地域にあるということだけだ」
卓田越彦は眉を軽く上げた。「お父さん、その地下宮殿の下には一体何があるんですか?」
「記録によると、地下宮殿には我々の先祖である卓田義明大將軍と明月姫が葬られており、中にはかなりの宝物が隠されているという。おそらくあの連中が玉石を狙っているのは、それらの宝物のためだろう。我々卓田家が今日まで栄えているのも、先祖の加護のおかげだ。だから卓田家の各世代の継承者は、必ず玉石を守り、決して外部の者の手に渡して先祖の安寧を乱してはならない」
卓田越彦はうなずいた。「お父さん、わかりました」
卓田正修は軽く彼の肩を叩いた。「しかし、あの連中が卓田家に来ても無駄だ。虹色の玉石は卓田家にはないからな」
卓田正修は卓田越彦の側に寄り、小声で数言葉を告げた。
「お父さん、わかりました。安心してください。これからは玉石を守ることは私に任せてください。あの連中については、そろそろ排除すべき時です。卓田家も簡単に手出しできる相手ではないと知らしめましょう」
「この件は私が処理する。君はまず音夢の面倒を見てくれ。あの連中が永崎城に潜んでいる限り、必ず全員を炙り出せるはずだ」
卓田越彦は少し躊躇した。「お父さん、殺し屋組織の連中は手強いでしょう。気をつけてください」
卓田正修はそう言われて、思わず口元が上がった。「安心しろ、お前の父はまだそこまで老いてはいない」