第411章 小叔叔は自制してください6

井上菜々は言い終わると、思わず彼の顔を見つめた。彼は彼女の「あだ名」だけを覚えていて、彼女の本当の名前を知らないのかもしれない。

子供の頃、彼女は痩せて弱々しかったので、村の子供たちは皆彼女を「小娘」と呼び、誰も彼女の本名で呼ぶことはなかった。

古田静雄が彼らの村に夏休みを過ごしに来た時も、小娘、小娘と呼んでいた。

案の定、古田静雄は井上菜々という名前に全く反応を示さなかった。

そのとき、エレベーターがチンと音を立てた。

古田静雄は長い脚でエレベーターに入り、井上菜々がまだぼんやりと立っているのを見た。

彼は眉を軽く上げて、「降りるんじゃないの?」と言った。

井上菜々はまだ我に返っていなかったが、彼の言葉を聞いて、両足が自動的に中に入った。

古田静雄はボタンを押し、エレベーターはゆっくりと下降し始めた。