第441章 私を無視しないで19

鈴木世介はエレベーターのボタンを押し、彼女を引っ張って中に入った。「バカだな、俺がこんなに一生懸命働いているのに、信じてくれないのか?」

卓田礼奈は首を振ったが、少し心配していた。「鈴木世介、あなたがあまり無理しないでほしいの。ほら、まだこんなに若いのに、胃を悪くしてしまって。そうだ、明日は休みを取って、病院で検査してきて。これは交渉の余地なしよ、私の言うことを聞いてもらわないと。」

彼の健康に関わることだから、卓田礼奈が心配するのは当然だった。

「明日は無理だよ、会社に戻らないといけないから。こうしよう、来週末は君の言うことを全部聞くよ。何をしろと言われても、何でもするから。」

「鈴木世介、あなた自分で言ったのよ。来週になって、残業するなんて言わないでね。私を怒らせたら、あっという間に誰かに頼んであなたを病院に連れて行かせるわよ。あ、そうね、そんな暴力的なことしなくても、お姉さんに言えば、お姉さんの言うことなら、あなたは絶対に聞くでしょうね。」

鈴木世介は眉をひそめ、ため息をついた。「わかったよ、全部約束する。姉さんには言わなくていいから。」

話しているうちに、エレベーターが到着した。

鈴木世介がドアを開けると、中では内装チームが最後の仕上げ作業をしていた。

「鈴木さん、こんにちは。あと1週間ほどで完成する予定です。」

卓田礼奈はこの内装を見て、自分の好みのスタイルだと感じた。

彼女は自分の実家の豪邸を見るよりも興奮して、思わず小走りで中に入った。「鈴木世介、どの部屋が私たちの部屋なの?」

鈴木世介は鼻をこすり、この質問が全く恥ずかしげもなく聞かれたことに驚いた。

彼は歩み寄って、「この部屋が姉さんの部屋で、こっちが僕たちの部屋だよ。」

卓田礼奈は部屋に入り、バルコニーまであることに気づいた。

卓田家の別荘には及ばないものの、彼女はとても良いと思った。

これは鈴木世介が自分のお金で買ったもので、これから彼らの家になる。

しかも、この場所は卓田家からもそう遠くない。

これからは実家に帰りたいときも、とても便利だ。

鈴木世介は彼女の興奮した様子を見て、鼻をこすりながら淡々と言った。「そのうち一緒に家具を選びに行こうか?」