この時、すでに午前4時過ぎで、卓田礼奈は外がまだ暗いのを見ていた。
彼女は思わずベッドに転がり込み、鈴木世介の隣で眠り始めた。
昨夜の卓田礼奈の献身的な看病のおかげで、翌朝目覚めた時には、鈴木世介の熱はすっかり下がっていた。
彼は小さな猫のように自分の側に丸くなって寝ている卓田礼奈を見た。昨夜は彼女に苦労をかけたな。
卓田礼奈はすぐに目を覚まし、目を開けるとまず手を伸ばして彼の額の体温を確かめた。
「よかった、今日は熱が下がったわ。もし下がらなかったら、病院に連れて行くしかなかったわ」
鈴木世介は彼女の手を握り、その手の甲に軽くキスをした。「もう大丈夫だよ、ありがとう」
卓田礼奈は口角を少し上げて、「全然苦労なんかじゃないわ。そうだ、傷を見せて」
卓田礼奈は一気に彼の服をめくり上げた。昨日の喧嘩で付いた傷跡だ。
「少し炎症を起こしているわ。私が不注意だったわ。昨夜のうちに処置すべきだったのに、雨に濡れてしまったし。点滴をしましょう。ちょうど点滴が終わったら、朝食を食べられるわ」
卓田礼奈は彼が嫌がろうと気にせず、薬箱から点滴バッグを取り出した。
吊り下げるフックがなかったので、彼女はハンガーを使って固定した。
鈴木世介は必要ないと言いたかったが、彼女の様子を見て黙るしかなかった。
まあいいか、点滴を受けよう。彼女が安心できるならそれでいい。
卓田礼奈はまず彼の腕に消毒液を塗り、それから針を刺した。
彼女の手つきが専門的で熟練しているのを見て、鈴木世介は目の前に一人の立派な医師がいるように感じた。
彼は卓田礼奈がきっと優秀な医師になると信じていた。
今回の病気で、彼女の専門的で成熟した、そして思いやりのある一面を見ることができた。
「あなたは今やっと少し良くなったところだから、白粥を作ってくるわ。言っておくけど、私の作る白粥はなかなかいいのよ」
そう言うと、卓田礼奈はベッドから降り、とても気遣い深く台所へ向かった。
米を洗った後、卓田礼奈は白粥だけでは味気ないかもしれないと思った。
彼女は時間を確認した。今の時間なら、実家ではまだ朝食を食べ始めていないはずだ。
白粥を食べるなら、やはり少しおかずがあった方がいい。
実家で作られている漬物や干し大根などを思い浮かべると、卓田礼奈は思わず涎を垂らしそうになった。