第444章 口寄せのチビちゃん1

鈴木世介は軽く咳をして、声色に諦めが滲んだ。「卓田礼奈、俺の自制心はお前が想像しているほど強くないんだ。だから、今夜はお前は家に帰って寝るんだ」

こう言われて、卓田礼奈はどんなに鈍感でも、ようやく鈴木世介がなぜ彼女を家に帰らせたいのか理解した。

「わかったわ」

卓田礼奈の不満げな様子を見て、鈴木世介は心の中で思った。自分の方がもっと辛いんだけどな。

8時頃、卓田礼奈が戻ってくると、家の中はとても賑やかだった。

リビングに入る前から、遠くから声が聞こえてきた。

彼女は誰が来たのか、なぜこんなに賑やかなのか気になった。

リビングに入ると、慈悲深そうな顔をした僧侶がリビングに座っていた。

彼女は突然思い出した。これは百仏寺の大師ではないか?

林柳美は彼女が入ってくるのを見て、急いで彼女を引き寄せた。「光恵大師にご挨拶して」

卓田礼奈は礼儀正しくお辞儀をした。「光恵大師、こんにちは」

光恵大師はうなずき、指で何かを計算するように動かし、口元を少し上げた。「次女は最近、縁結びの星が動いているようですね…」

大師にそう言われ、卓田礼奈は照れくさそうに微笑んだ。

卓田礼奈のことは重要ではない。実際、彼女と鈴木世介の関係は、みんな知っていることだった。

「大師、今回直接来ていただけて本当にありがたいです。私の孫娘は、前回病院で目覚めた時、突然不浄なものが見えると言い出して、この小さな玉の仏をつけてからは何も起こっていませんが」

卓田越彦と鈴木音夢はとても心配していた。迷信を信じているわけではない。

しかし杏子はずっと何かが見えると言い続け、彼女の手の痣もあまりにも不気味だった。

光恵大師は杏子を引き寄せ、注意深く観察した。

彼は杏子の首にかかっている小さな玉の仏を手に取り、眉を少し上げてから外した。

彼はお札を取り出し、朱砂で素早く呪文を書いた。とにかく書かれていることは、彼ら全員には理解できなかった。

書き終えると、彼はそれを直接杏子の体に貼った。

杏子はまだ何が起きているのか分からず、突然人影を見て悲鳴を上げ、怖がって急いで卓田越彦の腕の中に隠れた。

鈴木音夢は非常に緊張していた。「杏子、ど、どうしたの?ママを怖がらせないで」

「ママ…ママ、私…私またあの人影を見たの」

「杏子、怖がらなくていいよ。パパとママがここにいるから」