第446章 口寄せのチビちゃん3

鈴木音夢は頷いた。「うん、それもいいわね」

実際、母親として、子供が病気になっても何もできない気持ちをよく理解していた。

杏子は幼い頃から体が弱く、彼女はずっと心配で胸が張り裂けそうだった。

もし卓田家に戻って最高の治療と看護を受けていなければ、杏子が今どうなっていたか想像もできなかった。

もしあの時、杏子が生きられなかったら、きっと自分も一緒に逝っていただろう。

しばらくして、鈴木音夢は赤い紐を編み終えたが、チビちゃんはもう寝ていたので、明日交換してあげることにした。

卓田越彦は彼女を抱きかかえてベッドに連れて行き、思わず言った。「チビ、おじいさんは杏子のことをとても気に入っているよ。7番の金庫の中身を知っているかい?」

鈴木音夢は首を振った。彼女は4階に卓田家の多くの宝物が保管されていることは知っていたが、具体的に何があるのかはよく分からなかった。

「おじいさんは昔から宝石集めが好きでね。あの中の宝石は少なくとも十数億の価値がある。おじいさんはそれを全部杏子の嫁入り道具として贈ったんだ。それだけおじいさんが彼女を可愛がっているということさ」

鈴木音夢は宝石だけで十数億の価値があると聞いて、驚いて飛び上がりそうになった。

「十...十数億?」

鈴木音夢は自分がただの一般人に過ぎないと感じていた。以前は食事にも困るほどだった。

彼女にとって、嫁入り道具が十数万でも大したものだと思っていた。

今、おじいさんが何気なく贈った宝石一式が十数億の価値があるなんて、怖いほどすごいことじゃないか?

それも単位は億だよ!億!億!

「そうさ、でもお金が一番重要なわけじゃない。重要なのはあの王冠だ。あれは身分の象徴なんだ。それをつければ、イギリス王室に直接入ることができる」

「まさか、それって...私たちの杏子がまるでお姫様みたいになるってこと?」

「そう言えるね。僕の叔母はイギリス王室に嫁いだんだ。僕たちの結婚式の時、彼女も参加するために戻ってくるよ」

卓田家は大きく根深い。このような名家の人脈は、外部の人が知っているよりもさらに深いものだった。

鈴木音夢は写真でしか本人を見たことがなかったが、気品と優雅さに満ちた婦人だった。

思わず感嘆せずにはいられなかった。前世で銀河系でも救ったのだろうか?今世で卓田越彦のような男性に出会えるなんて。