鈴木音夢はうなずいて、卓田越彦を一瞥した。卓田様がそう簡単に許してくれるとは思えない。
娘の姿を見ると、全身が汚れ、服にはいくつもの裂け目ができていた。
昨夜、彼らがどうやって逃げたのか、想像もできなかった。
「杏子、ママとお風呂に入って、服を着替えてから、下に降りて食事しましょう」
卓田越彦と鈴木音夢は、チビちゃんが言わないだけで、体にどこか怪我をしているのではないかと心配していた。
部屋に戻ると、卓田越彦はお風呂の準備をし、鈴木音夢は服を探していた。
服を脱がせて、二人は丁寧に体を調べたが、少し皮膚が擦り剥けている以外は大きな問題はなかった。
「杏子、昨夜あの人たちは本当に何もしなかった?」
「ママ、本当に何もなかったよ。おじちゃんが私をおんぶしてたくさん歩いたの。パパ、おじちゃんを解放してあげて」