豊田景明は彼女の手を握り、頷いた。「ただこの人に確認するだけだから、すぐに戻るよ。今日はゆっくり休めていないだろう。家で少し寝ていて、目が覚めたら私は戻っているから」
陽川恵美は何故か不安を感じていた。もし豊田景明が林暁美を見つけたら、おそらく彼らの夫婦としての縁はこの世で終わりを迎えるだろう。
彼女は思わず彼を抱きしめ、深呼吸して言った。「気をつけてね」
「わかった…」
豊田景明は休もうとしなかった。今は少しも休みたくなく、ただ早く林暁美の居場所を突き止めたかった。
彼は豊田祐助が調べた住所を手に、車を運転し、ナビで目的地へと向かった。
豊田祐助は当時の質屋の古参従業員、平田さんを見つけた。彼は一生を質屋で働いてきた人物だった。
今年ですでに70歳になり、彼の手を経て多くの品物が取引されてきた。